ウクライナ

開戦1年、ウクライナの親子は今―冬の寒さに「食料か暖房か」選択迫られる母親―
国内外への避難を強いられるなど、苦しい生活を続けるウクライナの人びとは、容赦のない冬の寒さにもさらされています。
燃料価格の高騰もあり、子どもを抱えた母親たちは「食べ物か暖房か」の二者択一を迫られようとしています。

【母親たちの苦しみ】
「実際に爆撃が始まるまで、本当に起きるとは信じられませんでした」北部のチェルニヒウに住む27歳のアリーナは開戦翌日の午前4時、夫から「今日は娘たちを幼稚園に連れて行っちゃいけない。爆撃が始まるんだ」と告げられました。実際に間もなく爆撃が始まり、夫婦は5歳と1歳8カ月の娘を連れて、地下に逃れました。
自宅の窓や壁が破壊され、親戚に借金して何とか修理しました。
「窓ガラスがないと、冬には子どもたちは凍えてしまいます」と、アリーナは訴えます。



【インフラ被害で凍えるリスクも】
ウクライナでは1800万人が人道支援を必要としており、650万人が国内での避難生活を強いられています(2022年12月時点)。自宅の窓や壁が破壊され、親戚に借金して何とか修理しました。「窓ガラスがないと、冬には子どもたちは凍えてしまいます」と、アリーナは訴えます。
避難などによって多くの人が職を失い、3世帯に1世帯が日々の食事を十分に摂ることができずにいます。一部地域は激しい爆撃や戦闘によって、発電所や水道、ガスなどのインフラ設備に深刻な被害を受けました。
さらに、暖房に使う燃料価格も上昇しています。今この時も、アリーナのような母親たちは、限られたお金を食料に使うか、暖房に使うかの選択を迫られています。
国内の食料価格も、1年間で22%上昇しました。さらに東部・南部では、戦闘のためサプライチェーンが混乱し、必要な食料が住民に届きづらくなっています。
国連WFPが東部で調査したところ、回答者の4割が食事の量を減らしたり、大人の食事を子どもに回したりしています。

【人びとに温かい食べ物と栄養を】
国連WFPは、ウクライナで毎月約280万人に食料の配布、または現金支給を通じた支援を実施しています。現金を通じた支援には、人びとが自ら購入した食材を調理し、温かい料理を食べられるメリットがあり、昨年3月以降の支援総額は4億米ドルに上ります(2022年12月時点)。
現金支援に当たっては、ブロックチェーン技術を活用して18の人道支援団体と連携し、重複を避けて可能な限り多くの人びとに、まんべんなく支援を届ける仕組みも設けています。
ウクライナでは避難先から地元へ戻る人びとも増えていますが、帰還者の多くは自宅を破壊されるなど、生活再建の難しさに直面しています。
国連WFPの支援は、避難民や戦闘地域に暮らす人、帰還者を含めたすべての人びとが、栄養価の高い温かい食事を摂り、健康な体を保つために行われているのです。
最新情報

2023/1/16
•12月は300万人以上の人々に食料と現金の支援を実施。
•12月中旬、ウクライナでは新たな激しい空爆が始まった。これまで散発的に攻撃を受けていた首都が継続的に標的となり、重要なインフラや住宅に被害が及んでいる。12月14日、16日、19日、29日、31日に行われた組織的な空爆は国全体に及び、民間人に犠牲者を出し、暖房、電気、飲料水などの多くの重要サービスが麻痺し、日中の最高気温は常に0度前後となっている。
•2022年3月以降のウクライナ国内での現金輸送の総額は4億2,000万米ドル
•国内避難民の数 590万人
•欧州全域で記録されたウクライナ人難民の数 780万人
•ウクライナの人口 3800万人
2022/11/06
11月1日から6日まで、国連WFPは約73,000人を支援しています。
10月、国連WFPは約270万人を支援しました。
2022/10/04
黒海穀物イニシアテチブ調印以来、国連WFPはウクライナから20万トン以上の小麦粉を調達しました。
9月、国連WFPは約280万人を支援しました。
2022/09/01
国連WFPは約276万人に支援を行いました。
2022/08/22
最初の国連WFPの輸送船が、23,000トンの小麦粉を積んでウクライナを出航しました。
2022/08/08
国連WFPは、食料および肥料輸出のため黒海の港を開く合意書が調印されたことを歓迎するとともに、世界的な食料危機に対処し、ウクライナ経済を支援するため、(合意内容の)迅速かつ持続可能な履行を求めます。
2022/08/01
7月、国連WFPは290万人を支援しました。
2022/07/19
国連WFPは4月以来、合計で1億4000米ドル相当の現金および食料引換券を、戦争の影響を受けている家族に提供しました。また、7月、国連WFPは290万人を支援しました。また、6月、国連WFPは約270万人を支援しました。
2022/06/16
5月、国連WFPは弱い立場のウクライナ人約220万人を支援しました。
アフガニスタン

アフガニスタンの人口
3890万人
急性食料不安に陥っている人びと
2280万人
緊急レベルの食料不安に直面している人びと
870万人
WFPの支援を受けるライリさん
「子どもを働かせず、学校へ行かせたことを間違っていると、夫は私を責めました。夫は目が悪く働くことができません。誰も助けてくれませんでした」
ライリさんは、アフガニスタン西部で、国連WFPから職業訓練と現金支給支援を受けています。
「機械(ミシン)に詳しくありませんでしたが、センターで学ぶことができてとても幸せです。今、裁縫で自分の名前を書けるようになりました。私が頑張れば、子供たちの将来を明るいものにできます。だれにも頼らなくてよくなります。将来、アフガニスタンが平和な国になって、自分たちの力で生活できるようになれることを願っています」とライリさんは言います。
アフガニスタンでは5人に2人、数百万人がライリさんのようにWFPからの支援を受けています。
深刻化するアフガニスタンの危機
タリバンがアフガニスタンの政権を掌握してから、信じられないような規模の人道的危機が、さらに複雑で深刻になっています。失業、現金の不足、物価の高騰により、アフガニスタンでは新たな飢餓層が生まれています。人口の半分以上にあたる2280万人が十分な食料を摂取していません。 国は経済崩壊の危機に瀕しており、現地通貨は史上最安値を記録し、食料価格は上昇しています。

急性栄養不良は34州のうち27州で緊急事態の基準値を超えており、今後12カ月間で5歳未満の子どもの約半数、妊娠中・授乳中の女性の4分の1が命を救うための栄養支援を必要とするなど、悪化が予想されています。
冬が近づくにつれ、食料を国内に運び込み、戦略的な場所に事前に配置することが、今、国連WFPにとって最も緊急の課題となっています。雪が積もれば、道路は寸断され、コミュニティは孤立してしまいます。最も食料が足りなくなる「リーン・シーズン」とよばれる季節には、国連WFPの食料支援が多くのアフガニスタンの家族にとって唯一の命綱となります。
私たちは、人道的な大惨事を回避するために行動を起こす必要があります。国連WFPは、アフガニスタンで困っている人びとを支援するために、毎月2億2000万ドルを緊急に必要としています。

アフリカ
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アフリカの角の干ばつにあえぐ女性や子どもたち
干ばつにより、ミドさんとその家族はドーロゥへの厳しい旅を余儀なくされました。ミドさんの息子である5歳のモハメッド君、彼は、国内避難民の家族が食料を求めてソマリアを長く旅している間に力尽き、浅い墓に埋葬されました。「私たちが家を出る決心をしたのは、ここには干ばつと飢え以外何も残っていなかったからです」と、母親のミドさんは国連WFPに語ります。「私たちは牧畜民で、牛やラクダを飼っていましたが、一頭残らずすべての家畜を失いました。水もなく、子どもたちの食べ物もなく、お金を得る手段もありませんでした」 世話をしなければならない他の4人の子どもを抱え、何日も続く旅を前に、25歳のミドは短く別れを告げ、ソマリアとエチオピアの国境沿いを流れるダワ川のほとりにあるドーロゥのカバサ避難民キャンプまで歩き続けたのです。

西アフリカの深刻化する食料危機
西アフリカの地域は、10年間で最大級の飢餓に直面しています。地域一帯で深刻な食料・栄養危機が迫っています。最新の報告では2022年に十分な食事をとれない人の数は4300万人に上る見込みです。
パンデミックから回復しつつある人びとが打撃を受けているのです。気候ショックと経済の減退で食料が手の届かぬものとなる一方でウクライナの紛争により物資の輸入が影響を受け、物価も上昇しています。人道支援の費用も同様に上昇しました。
命を救い、強靭性を高める支援を2200万人に届けるため、国連WFPは活動を拡大しています。西アフリカで今起きている緊急事態に対応するため、さらなる資金が必要です。
深刻な影響が広がるアフリカ
(11月18日更新)紛争、気候変動、新型コロナウイルス感染症の社会経済的影響や価格の高騰などにより、世界では過去最大となる3億4500万人が深刻な飢餓に苦しんでいます。 2022年、かつてないほど食料支援のニーズが高まる中、世界有数の穀倉地帯であるウクライナでの紛争が勃発し、食料、燃料、肥料価格のさらなる高騰が、脆弱な立場にある人びとに追い打ちをかけています。 すでに食料不安を抱え、小麦などの食料を輸入に頼っていたアフリカの国々では特に深刻な影響が広がっています。 国際社会が命を救うための緊急の支援を拡大し、平和と安定を築くための支援に投資しなければ飢きんや政情不安は避けられません。南スーダン

支援を受けられなければ飢きんに陥る可能性がある人びと(IPCフェーズ4緊急)
247万人
飢きんのような状況にある人びと(IPCフェーズ5カタストロフィー)
10万8千人
急性栄養不良に苦しむ子どもたち
140万人
さまざまな要因(食料価格の高騰、新型コロナウィルスの社会的影響による経済的落ち込み、紛争、前例のない洪水)が、広い範囲で飢餓を引き起こしています。
支援を受けなければ飢きんの危険にさらされている人びとは約247万人。すでに飢きんのような状況に直面している人びとは約10万8千人。急性栄養不良に苦しむ子供たちは140万人います。
2020年に国連WFPの食料援助を受けた人々は520万に上ります。
【画像】食糧難が南スーダンに深刻な打撃を与えています。画像はWFPハンガーマップ(HungerMap LIVE)より。
また、2021年1月から11月までの間、国連WFPは計画された530万人のうち475万人を支援しました。
学校給食支援では、50万人以上の子どもたちが激しい飢餓の時代を乗り越え、地域社会や国を前進させるための教育を受ける機会を得ています。
また、空中投下を実施して、遠隔地の孤立したコミュニティに命を救う食料支援と栄養補助食品を提供しています。 2016年以来、国連WFPは約40,000の空中投下を実施しました。
そのほかにも、気候変動の影響を軽減して人びとの生活を守る仕組みづくり(例:小さな堤防を建設など)を行っています。
しかしながら、支援ニーズが引き続き資金を上回っているため、国連WFPは重要な緊急支援などの活動を継続するための資金が底をつく可能性があります。
Photo: Niema Abdelmageed (このコーナーの写真)
ミャンマー

ミャンマー緊急支援
ミャンマーの飢餓が深刻化しています。政情不安、失業のほか、食料や燃料価格の高騰、暴力、避難などで苦しむ人びとの飢餓の状況は、一層深刻化しています。
FAO-国連WFPの最新の報告によると(2023年1月25日発表)、ミャンマーでは1,520万人が食料不安に陥っています。

今まで以上に、ミャンマーの人びとは私たちの支援を必要としています。

ハイチ

ハイチで初の壊滅的な飢餓
人口の約半数が急性食料不安に直面
ポルトープランス-絶え間なく続く危機によって脆弱な立場にあるハイチの人びとは、食料、燃料、市場、雇用、公共サービスへのアクセスが絶たれ、絶望の連鎖に陥っていると、国連食糧農業機関(FAO)とWFP国連世界食糧計画(国連WFP)は、警告しました。ポルトープランスの都市部にあるシテ・ソレイユでは、総合的食料安全保障レベル分類(IPC)の最も深刻な壊滅的飢餓(IPCフェーズ5)が報告されています。
最新のIPCの分析では、過去最多となる470万人が現在、急性食料不安(IPC3以上)に陥っており、そのうち180万人は緊急事態の飢餓(IPC4)に苦しんでいます。今回は、ハイチで初めて1万9000人が壊滅的な飢餓(カタストロフィーIPC5)に該当しました。
シテ・ソレイユでは、過去3年にわたって、食料不安が悪化しています。現在人口の65%、特に最も貧しく脆弱な立場にある人びとは、深刻な食料不安を抱えており、そのうち5%は緊急の人道支援を必要としています。シテ・ソレイユでは、武装組織が地域の支配権を巡って暴力が増加しており、住民は雇用、市場、健康保健、栄養サービスへのアクセスが絶たれています。多くの人は避難を余儀なくされたり、家で身を隠しています。
農村部においても食料安全保障が悪化を続けており、危機的飢餓(IPC3)から緊急事態の飢餓(IPC4)に移行した地域もあります。例年を下回る降雨量によって収穫量が減ったことや、2021年の地震でグランダンス県、ニップ県、南県の一部が破壊されたことも状況の悪化につながっています。
国連WFPは、脆弱な人びとや貧しい人びとに手を差し伸べることで、ハイチの人々に寄り添っていきます。私たちは、ここで子どもたちが栄養のある食事を毎日食べ、家族が基本的な食料ニーズを満たし、コミュニティーがエンパワーされるよう支援をしていきます。
イエメン

人口
3,120万人
国連WFPが2022年に人道支援を必要とする人びと
1,740万人
12月までの見込1,900万人
急性栄養不良の5歳未満の子ども(538,483人が治療を受けられなければ死亡する危険にさらされています)
220万人
イエメンで飢えをしのぐサフィアさんと家族
6年間の紛争により、何百万人もの人々が壊滅的な打撃を受けており、緊急に必要な資金がなければ、飢饉が現実のものとなります。「子どもたちは私たちよりも大切な存在です」と語るサフィアさんは、子どもたちに食事を食べさせるために、頻繁に食事を抜いています。「子どもたちが食事をしているとき、私は空腹を感じません......子どもたちがお腹いっぱいになれば、私もお腹いっぱいになります。子どもたちが病気になれば、私も病気になります。」

2020年の夏、サフィアさんは息子のスルタン君が急性栄養不良になったのを沈痛な思いで見ていました。重度の急性栄養不良(Severe acute malnutrition:SAM)は、飢餓の中でも最も危険な状態のひとつです。当時、夫のアラファトさんは、戦争で荒廃したイエメンを襲った新型コロナウィルスの影響で、仕事を見つけるのに苦労しており、一家は1日2食を食べるのがやっとという状態でした。
わずか13カ月の赤ん坊のスルタン君は、将来を失う危険性がありました。幸いなことに、イエメンの戦争でホデイダを追われてサナアに避難してきたスルタン君の家族は、国連WFPが支援する栄養クリニックの近くに住んでいます。
サフィアさんとアラファトさんは、スルタン君をクリニックに連れて行き、国連WFPの栄養不良治療プログラムに登録しました。定期的な栄養サポートにより、スルタン君は徐々に改善し始めました。2020年9月には、中等度の急性栄養不良に分類されました。改善されたとはいえ、子どもの身体的・認知的な発達を妨げる深刻な栄養不良です。しかし、2021年初頭には、健康な状態で退院することができ、両親も安心しました。現在、彼は3カ月ごとにクリニックでモニタリングを受けています。
「医者から息子が回復したと聞いたとき、私は安心してとても幸せでした」とサフィアさんは言います。「あの時、私は息子を強く抱きしめたいと思いました。今では私と一緒に笑ってくれます。今、息子が元気になったことに感謝して、夜は少しずつ眠れるようになりました。」

しかし、スルタン君とその兄弟に対する脅威は依然として残っています。国連WFPは深刻な資金不足のため、通常の毎月の食料支援ではなく2カ月に1度しか食料支援を行うことができず、スルタン君と兄、2人の姉は飢えの危機にさらされています。
小麦粉、乾燥豆、油、砂糖、塩の配給は4週間分ですが、父親がバイクの運転手やハマムのマッサージ師などの不定期な仕事をしている場合は6週間やりくりすることができます。
スルタン君はまた、栄養不良にならないように、ピーナッツをベースにしたすぐに食べられる栄養補助食品を受け取っています。

「お金があれば、何よりもまず食べ物を買うことにしています。野菜、米、魚などです」とアラファトさんは説明します。「私は、自分のことよりも、できる限り(家族のことを)気にかけています。」
「例えば、自分のために何かを手に入れたいと思っても、そうしません。一日中外で働いていても、昼食は買いません」子供たちが食べられるようにと、サフィアさんが食事を抜くことも珍しくないです。
イエメンは現在、瀬戸際に立たされています。6年間の紛争により、何百万人もの人々が壊滅的な打撃を受けています。5万人が飢饉のような状況に直面しており、500万人がこの最悪のシナリオの一歩手前の状況にあります。さらに1,100万人が危機的なレベルの食料不安に直面しています。2021年には、イエメンの5歳以下の子どもたちの約半数にあたる230万人が、スルタン君のような急性栄養不良に陥ると予測されています。
このように数百万人が絶望的な状況に置かれているため、サフィアさんとその家族は、他の多くの人々よりもわずかに恵まれた状況にあると感じています。「ホデイダにいる家族に電話すると、本当の飢えの苦しみを聞かされます。数日間も食べ物が手に入らないんです」と彼女は言います。

サフィアさんとその家族は、2015年にホデイダから避難しました。アラファトさんは倉庫で13時間のシフト制で働いていました。生活は苦しく、家族にもほとんど会えませんでした。しかし、少なくとも食卓に食べ物を並べることはできていました。
その後、戦争が起こり、学校は閉鎖され、雇用市場も崩壊しました。すべての倉庫が閉鎖され、それに伴い一家の唯一の収入源が失われました。一家は東のサナアに向かい、そこで一部屋を月70ドル相当で借りています。
アラファトさんとサフィアさんの最大の関心事は、最も弱い立場にある末っ子の健康です。彼らは、スルタン君が次の食事が保証されていることを当然のこととして、将来を見据えることができるようになりたいのです。
また、サフィアさんは子どもたちの教育や将来のことも心配しています。自分の母親が自分を高校まで支えてくれたように、今再び学校に通えるようになった自分の子どもたちにも同じことをしてあげたいと思っています。スルタン君も年頃になったら一緒に学校に通う予定です。
「私は勉強して高校を卒業しましたが、私が達成できなかったことを子供たちに果たしてほしいと思っています。つまり、大学を卒業し、私たちが受けた苦しみに見合うだけのものを達成してほしいのです。」と彼女は言いました。
イエメン緊急支援

イエメンで深刻な飢餓が続いています。紛争の長期化、それに伴う経済危機、人道支援の資金の不足により、イエメン全体で深刻な食料難が続いています。
人口 3,120万人のうち1,740万人は食料不安に陥っており、年末までにはその数は過去最大の1,900万人に増加するとみられています。急性栄養不良で苦しんでいる5歳未満の子どもは220万人で、そのうち53万人以上はこのまま治療を受けられなければ死の危険にさらされています。
イエメンの経済は、通貨の下落とハイパーインフレで崩壊寸前です。また、全人口の8割が貧困ライン以下で生活していると言われる中、食料と燃料価格の高騰が人びとに追い打ちをかけています。イエメンの多くの地域で今年、食料価格が2倍以上に上昇し、食料を手に入れることがますます困難になっています。国連WFPの食料支援は、イエメンの家族にとってたった一つの命綱です。
また、ウクライナ危機は食料と燃料の価格上昇を通じて、イエメンにとってさらなる打撃となります。イエメンはほぼ完全に食料の輸入に依存しており、この3ヶ月間、小麦の輸入の31%はウクライナからの輸入に頼っていました。
ウクライナ同様、深刻な状況に陥っているイエメンにあたたかい支援をどうかよろしくお願いします。
Photo: Mohammed Awadh (このコーナーの写真)
シリア

シリアで食料不安を抱えている人びと
1240万人
深刻な食料不安に陥っている人びと
130万人
2022年5月までに国連WFPが必要とする資金
5億2780万米ドル
紛争、避難、深刻な景気後退、通貨の下落などにより、シリアでは多くの人びとがこれまで以上に貧困と食料不安に陥っています。
国内の約6割にあたる1240万人の人びとが食料不安を抱えており、次の食事をどう確保できるかわからない状況です。現在、シリアは10年以上にわたる紛争中のどの時期よりも深刻な食料不安が広がっています。
シリア全土の基本的な食品・日用品の価格は、最高値を更新し続け、特に主食の価格は大きな影響を受けています。昨年、小麦粉の価格は91%上昇し、白米は80%上昇しました。
シリア北西部は、国内で最も支援ニーズが高い場所です。シリア北西部の人口の80%以上が食料不安です(330万人)。 国連WFPは、トルコからの越境支援により、毎月135万人に食料支援を提供しています。
2022年もシリアの人びとの命を救うためには緊急支援が必要です。
皆様の温かい支援をどうかよろしくお願いいたします。
Photo: Marco Frattini (このコーナーの写真)
エチオピア

ティグライ、アファール、アムハラの各州で、紛争のために食料支援を必要としている人びと
900万人
エチオピアで干ばつにより深刻な飢餓に直面している人びと
570万人
2月中旬現在、国連WFPが北部エチオピア紛争対応および南部エチオピア干ばつ対応を通じて支援した人数
650万人以上
エチオピアは現在、2つの緊急事態に同時に直面しており、国内の食料不安を悪化させています。
紛争から1年以上が経過し、エチオピア北部ではこれまで以上に多くの人びとが緊急の食料支援を必要としています。
紛争の直接的な結果として、ティグライ、アファール、アムハラ州全体で900万人が食料支援を必要としています。ティグライでは460万人、アファールでは53万4千人、アムハラでは370万人です。
活動上の大きな課題にもかかわらず、国連WFPは、3地域全体で440万人以上に無条件の緊急食料・栄養支援を提供しています。しかし、特にティグライ州では燃料や食料の在庫が過去最低となっており、国連WFPは支援を必要としている人びとに必要な頻度と量で支援することができない状況です。
ティグライの国境とアファール州に広がる情勢不安は、国連WFPがスタッフや人道支援物資の安全と安心を損なわずに食料を届けることができないことを意味しています。物資を提供し、命を救う支援を必要とする数百万人もの人に大規模な支援が届けられるよう、国連WFPは、すべての紛争当事者から、この地域に入るすべてのルートで安全な人道的回廊を直ちに保証してもらう必要があります。
エチオピア北部における国連WFPの活動を迅速に拡大するために、2億6500万米ドルが緊急に必要です。
一方、同国では1981年に記録されて以降で最も乾燥した状況となっており、深刻な干ばつにより、2022年の第1四半期にはエチオピアで570万人が深刻な飢餓に直面すると推定されています。
水と牧草の不足は生活に打撃を与え、南部と南東部のソマリ、オロミア、南部諸民族州全体で家族は家を追われています。
3年連続雨季に雨が降らなかったことで、作物は壊滅的な打撃を受け、異常なほど家畜の死亡が増加しています。オロミアとソマリ州だけでも、飼料と水の不足により、少なくとも48万4000頭の家畜の死亡がすでに報告されています。
国連WFPはすでに現地で、短期的には命を救い、長期的には回復力を高めるために、緊急食料支援と予測型支援を組み合わせて家族を支援しています。
しかし、350万人の人びとに完全な干ばつ対策支援を提供するためには、国連WFPは1億3,000万米ドルを必要としています。
コンゴ民主共和国(カサイ地域)

深刻な食料不足に陥っている人の数
2700万人
国内避難民
5500万人
エボラ出血熱の影響を受けた地域で国連人道支援航空サービス(UNHAS)により移送された人の数
1万9600人
コンゴ民主共和国では食料不安が拡大し続け、2700万人が深刻な食料不安に陥っています。推定340万人の子供が急性栄養不良にあります。コンゴ民主共和国は、世界最大の飢餓危機のひとつであり、国連WFPにとって緊急支援国です。
国連WFPは、この飢餓危機に取り組むことに加えて、近年コンゴ民主共和国の北部で数千人の命を奪ったエボラウイルス病(EVD)の大流行と戦うコンゴ民主共和国政府を支援してきました。最新(12回目)のエボラ出血熱は、2021年5月に終息宣言が出されました。
サヘル緊急支援

人口
3,120万人
2022年に国連WFPが2022年に人道支援を必要とする人びと
1,740万人
急性栄養不良の5歳未満の子ども
220万人
武力紛争の激化、治安の悪化、貧困の蔓延や気候変動の影響はサヘル中心部の国々にて確実な脅威をもたらしています。市民への攻撃やインフラの破壊、国と非国家武装グループ間の紛争によりブルキナファソ、マリやニジェールでは大規模な人口の避難が発生しています
強制的に避難を強いられた人々は緊急の命を守る支援を必要としています。彼らの多くが避難したホストコミュニティーもまた貧困にあえぎ、脆弱な状態です。人道主義的な支援がますます困難になっている時に、食料ニーズは必然的に増加しています。
不安の高まりは、食料安全保障や栄養を含む様々な分野で行われた利益を脅かし、食料や貿易の流れを混乱させています。2018年にサヘルを襲った深刻な食料危機からかろうじて回復したものの、脆弱な立場におかれた多くの人々は現在、暴力の影響を受けています。
今や命を救うためには、迅速な人道的行動が不可欠です。増大する人道的ニーズに対応することと同時に、コミュニティの回復力構築における近年の進歩を守ることは大きな課題です。
国連WFPは生活の改善、飢餓の終焉、安全でない移住の減少、若者への教育や紛争の根絶を目的とし、命を守る人道主義的な介在を、生活を再建させ、生態系の回復し、雇用を創出し社会的結束を構築する活動への投資の拡大に結びつけることを目指しています。
国連WFPは、多くのみなさまに寄付を通じた支援をいただいているものの、サヘル中心部3ヵ国での支援活動のために2022年4月までに2億900万米ドル以上を必要としています。
ソマリア
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急性食料不安に直面している人びと
600万人
急性栄養不良に直面している5歳未満の子どもたち
140万人
2022年9月までの国連WFPの必要資金
1億9,200万米ドル
アフリカの角の干ばつにあえぐ女性や子どもたち
干ばつにより、ミドさんとその家族はドーロゥへの厳しい旅を余儀なくされました。ミドさんの息子である5歳のモハメッド君、彼は、国内避難民の家族が食料を求めてソマリアを長く旅している間に力尽き、浅い墓に埋葬されました。「私たちが家を出る決心をしたのは、ここには干ばつと飢え以外何も残っていなかったからです」と、母親のミドさんは国連WFPに語ります。「私たちは牧畜民で、牛やラクダを飼っていましたが、一頭残らずすべての家畜を失いました。水もなく、子どもたちの食べ物もなく、お金を得る手段もありませんでした」 世話をしなければならない他の4人の子どもを抱え、何日も続く旅を前に、25歳のミドは短く別れを告げ、ソマリアとエチオピアの国境沿いを流れるダワ川のほとりにあるドーロゥのカバサ避難民キャンプまで歩き続けたのです。

ソマリア緊急支援
ソマリアは飢きんの瀬戸際に瀕しており、アフリカの角で極度に悪化した干ばつによって国が荒廃しています。3年連続雨季に雨が降らなかったことで、この40年間で最も乾燥した状況の中で、合計600万人が深刻な食料不安に直面しています。干ばつは、他の繰り返される気候ショック、継続して危険で不安定な状態の影響を悪化させています。5歳未満の合計140万人の子どもたちが急性栄養不良に直面しており、そのうち33万人は重度の栄養不良で、早急な治療がなければ死亡する危険性があります。2022年第1四半期には、50万人以上が干ばつによって避難しています。
3月から6月の雨季も雨が降らず、購買力が低下し続け、人道的支援が最も必要としている人びとに届かなければ、ソマリアは2022年半ばまでに飢きんに見舞われる可能性があります。ソマリアで前回宣言された2011年の飢きんでは、25万人の死者が出ています。
この危機に直面し、国連WFPは緊急食料・栄養対応を拡大し、合計300万人に届くよう取り組んでいます
ナイジェリア

ナイジェリア北東部で飢餓に直面している人
520万人
ボルノ、ヨベ、アダマワ州で国内避難を強いられた人
200万人以上
ナイジェリア、カメルーン、チャド、ニジェールで、食料支援が必要な人
700万人
ナイジェリア北東部のボルノ、ヨベ、アダマワの3州では、ボコ・ハラムによる暴力が何百万人もの人々の命と生活を脅かしています。
500万人を超える人々が飢餓に直面しており、45万人の子どもたちが深刻な栄養不良に陥っています。暴力と不安定な状態によって大勢が故郷を逃れ、200万人以上 が国内のキャンプや別の地域で生活し、数万人がカメルーンやチャド、ニジェールなど近隣諸国に避難しています。国外に避難した人々の多くは今帰還しつつあり、食料と避難所を必要としています。
最近の数カ月間、ナイジェリア政府と国連WFPを含む人道支援団体は共同で、飢きんを回避し、状況を安定化する試みを重ねてきました。しかし、人道支援の必要性は2018年も引き続き高く、緊急支援だけでなく、長期的な復興や開発事業への支援を続けていく必要があります。
マダガスカル

緊急の食料支援を必要とする人びと
130万人
急性栄養不良の子どもたち
13万5476人
国連WFPの2022年4月までの必要資金額
6900万米ドル
世界で最も災害に弱い10カ国のひとつであり、アフリカで最もサイクロンの被害を受けやすい国であるマダガスカルは、緊急レベルの危機に直面しています。4年連続の干ばつにより、南部の家族は無力で自力で食べることができない状態に陥っています。人びとは、バッタや生の赤いサボテンの実、野生の葉を食べるなど、必死の生存手段に追い込まれています。
マダガスカル南部では、少なくとも130万人が緊急食料・栄養支援を必要としています。危機の震源地であるアンボアサリアンモでは、約14000人が飢きんのような状態に陥っています。この数は、10月の「リーンシーズン」(次の収穫を前に食料が不足する時期)に入ると倍になる可能性があります。
マダガスカルは、現在、世界で唯一、紛争ではなく気候によって飢きんのような状況が引き起こされている場所です。
国連WFPは、マダガスカル国民の食料安全保障を確保するため、政府と緊密に協力しています。国連WFPは、マダガスカル南部の100万人に命を救う食料を届けるために対応を拡大することを目指しており、そのためには6900万米ドルが緊急に必要です。