紛争、気候変動、そして価格高騰……
ここ数年間、私たちの生活の中でも繰り返されてきた、
食料や光熱費の値上げ。
もはや世界の食料危機は、どこか遠い国の話ではなくなっています。
国連WFPは今年、60年にわたる活動の歴史の中で
史上最大規模の命の支援に立ち向かっています。
世界はつながっています。そして世界の未来は、私たちの未来です。
ぜひ、この現実を一緒に変えてください。
© WFP
2025年1月、パレスチナで物資を確認するスタッフ
実は世界の飢餓人口は、皆さまのご支援とご協力もあり、2005年からの10年間、確実な減少傾向にありました。しかし、世界各地で長引く紛争や自然災害の頻発、特にこの3年間はコロナ禍、さらにウクライナ戦争の影響も加わり、急性食料不安に直面する人びとが急増しています。
*命や生活が差し迫った危険にさらされ、緊急の支援を必要とする深刻な飢餓
国連食糧農業機関(FAO)によると、2022年の世界の食料価格指数は2019年比で最大約60%上昇し、1990年の統計開始から最高値を記録。その背景にはコロナ禍やウクライナ戦争で供給不安が高まったことがあります。いまは歴史的な高騰は落ち着いてきたものの、依然として高い水準にあります。
世界有数の食料輸出大国であるウクライナとロシア。その穀物に大きく頼っていたのが、中東およびアフリカ諸国です。昨年はウクライナの港が封鎖され、輸出が止まったことで、物価がさらに高騰。食料危機が加速する原因となりました。
ウクライナ戦争以来、国連WFPの月あたりの活動費は、2019年の平均と比べて7,360万米ドルも増加、実に約1.5倍も上昇しています。特に資金が不足するナイジェリア、南スーダン、イエメンなどではより多くの人へ支援を届けるため、1人あたりの配給量を減らさざるを得ない状況です。(2022年後半時点)
国連WFPは、現在123の国と地域で食料支援活動を行っており、その約6分の1が緊急対応下にあります。
【緊急支援を行っている国】(2023年5月時点)
トルコ・シリアの地震対応、アフガニスタン、コンゴ民主共和国、エチオピア、ハイチ、ケニア、ミャンマー、ナイジェリア、モザンビーク、ブルキナファソ、マリ、ニジェール、ソマリア、マダガスカル、南スーダン、スーダン、ウクライナ、イエメン等
48時間以内に、現地へ!
飢餓ゼロを使命とする国連唯一の食料支援機関として、
1963年に正式に活動を開始した国連WFP。
2024年は史上最大の約1億2,400万人の人びとに食料を届けました。
しかし、国連WFPが担う責任は、食料を届けることだけではありません。
緊急対応発生時には現場へ真っ先に駆けつけ、
人道支援に関わるあらゆるパートナーとの活動の基盤となる通信網を立ち上げます。
また国連随一の輸送集団として、
他の国連機関や民間の支援団体を支えるのも重要な仕事です。
緊急の人道支援時には、国連機関の専門分野によって支援をリードする機関が定められています。支援の重複を避け、それぞれが協力して働きを強化しています。国連WFPは「食料安全保障」「緊急通信」「ロジスティクス(輸送)」の3つの役割を担っています。
© WFP
いつどこで起こるかわからない自然災害や紛争。国連WFPはどんな要請にも迅速に対応するため、世界6カ所※で食料や救援物資の備蓄庫を運営。世界に650ある倉庫の物流・配送ネットワークを駆使し、48時間以内に最初の食料支給を目指しています。
※イタリア、ガーナ、マレーシア、パナマ、スペイン、アラブ首長国連邦
現地政府の支援要請を受け、派遣されたスタッフが直ちに行うのが、通信網と輸送手段の確保です。たとえば地震で道路が寸断された場合、陸路での食料支援が難しいことも。その場合は飛行機による空中投下など、国連WFPだからできるあらゆる手段を駆使し、食料を確実に届ける道筋を探ります。
より早く一人でも多くの命を救うためには、組織を越えた連携が必要です。国連WFPは多彩な輸送手段と世界的な物流・配送ネットワークを活かし、他団体もサポート。約20カ国でUNHASと呼ばれる航空旅客サービスを提供し、他団体の人や物を輸送しています。
国連WFPは目の前にある緊急支援のみならず、将来を見据えた復興支援、自立支援までを一貫して行っています。たとえば紛争地の場合、いち早い農業の再開を目指すための地雷除去や、破壊されたパン製造所の修復など、地域に根差した支援にも尽力しています。
ガザにおける人道的状況は依然として悲惨なままです。人びとの命、住まい、生計が破壊され、食料、住居、水、医薬品へのアクセスが極度に制限される中、地域社会全体が計り知れない犠牲を強いられています。現在も人道支援に従事している関係者にとっても過去にないほどの深刻な影響を与えています。この前例のない状況下でも、WFPは戦争中もずっと現地にとどまり、状況の変化に応じて支援活動を柔軟に調整しながら、新たな支援の形を試行し、飢餓の拡大を食い止めようと尽力しています。
ウクライナでの戦争が4年目に突入する中、推定500万人のウクライナ人が食料不安に直面しており、その多くが前線に近い地域に集中しています。国連世界食糧計画(WFP)のデータによると、何百万人もの人々が子どもたちのために自分の食事を犠牲にする、あるいは家族を養うために借金をするなど、さまざまな対処策に頼らざるを得ない状況に追い込まれています。 WFPは前線地域を中心に、毎月およそ150万人のウクライナ人に食料や現金の支援を続けています。しかし、これらの努力にもかかわらず、南部のヘルソン地域では住民の半数以上が深刻な飢餓に直面しており、東部のザポリージャ州とドネツク州でも、5人に2人が飢餓に苦しんでいます。
国連世界食糧計画(WFP)は、アフガニスタン東部で2025年8月31日(日)深夜に発生したマグニチュード6.0の強い地震を受け、被災地域に緊急食料支援を急いで届けています。この地震により数百人が死亡し、数千人が負傷または被災しました。地震の発生以前から、資金不足によりWFPは支援規模を大幅に縮小せざるを得ず、最も脆弱な人々のみに支援を届ける状況となっていました。その結果、数百万人の飢えた人々が支援を受けられないまま、冬の到来を迎えようとしています。今回の地震は、2023年10月にアフガニスタン西部ヘラート州を壊滅させたマグニチュード6.3の地震から、ほぼ2年後に発生したものです。WFPは当時も、家屋や持ち物をすべて失った数百世帯に栄養強化ビスケットを配布しました。
世界食糧計画(WFP)がスーダン全土で支援を拡大しているにもかかわらず、西部のエル=ファーシル市へのアクセスが遮断されているため、住民は飢餓に直面し、人道的ニーズが拡大し続けています。スーダンの北ダルフール州ザムザム難民キャンプで最初に飢きんが確認されてから1年が経ち、WFPは州都エル=ファーシルから身動きが取れなくなっている人びとが飢餓に直面していると警告しています。人道支援のアクセスが遮断されており、残された住民はわずかな備蓄品で生き延びるしかありません。WFPは1年以上にわたって、エル=ファーシルへの支援を陸路で届けることができていません。WFPは引き続き、市内の25万人に対してデジタルによる現金支援を提供しており、これにより住民は市場で手に入る限りの食料を購入できます。しかし、これは包囲された都市の巨大なニーズには全く足りていません。
過去40年間で最悪の干ばつに苦しむソマリアの人びと。「この国では何世代にもわたって治安の悪さに悩まされてきました。いま気候危機と世界市場の影響が加わり大きく揺さぶられています」と国連WFPソマリア国事務所副代表ローラー・ターナーは語ります。
国連WFPは毎月400万人以上に緊急食料支援を行っています。
※ご支援の額は、任意です。
※国連WFPの活動一例。地域やプログラム、為替レートによって変動します。
約20種類のビタミンやミネラルを含み、乳幼児の栄養を補強し、栄養不良を予防することができます。
国連WFPの食料セットは、米・小麦粉などの主食、豆類(タンパク質)、ビタミンA·Dを強化した植物油、塩、砂糖などを含みます。現地の人びとが食べ慣れた食料とも調整します。
栄養強化ビスケットは栄養豊富で、輸送しやすく、調理が不要のため、特に緊急時の初期に使用します。例)100gあたり450kcal、タンパク質10〜15g、ビタミン・ミネラルを強化
© WFP/Danijela Milic